バンド「うずまき」のブログ

バンドの事、音楽の事、楽器の事、その他少々の思いつきについて

オリジナル曲を演っているアマチュアバンドは絶対にプロフェッショナルな環境でレコーディングするべき

 うずまきのアルバム「ヴィンテージ ゴールド」は下北沢のhmcというスタジオでレコーディングしました。

hmc.bz

 今までも2枚ほどCDを作った経験はありましたが、いずれも近所のリハスタで5万円くらいのMTRを使って見よう見まねで録音、ミックスしたものです。当時はそれでも「おー、すごく良いね〜」などと喜んでおりました。

 

 今回も気持ちとしてはその延長線上でしたが、まあちょっと贅沢してプロも使うスタジオで録ってみようかな?くらいのつもりだったんですよね。

 

 しかし僕はそこで地獄を見ました(笑)

 

 レコーディング初日、8時間かけて8曲分のベーシックトラック(ドラム・ベース・リズムギター)を録り終えました。メンバー3人で「せーの」の一発録り!何度もライブで演ってきた曲だったのであっという間。で、モニタースピーカーでチェックした時の感動ったらありゃしません。「ああ・・・なんて良い音。なんて良い曲(オケのみですが)」その日は感動のあまりよく眠れず、「これはもしかしたらすごいアルバムになるかも」などと妄想が止まりません。

 

 そしてレコーディング2日目、歌入れ。地獄の一丁目の入り口です。一曲づつヴォーカルを録音、すると一曲づつ確実に、初日のオケが持っていた輝きが失われてゆく。僕の歌が僕の曲を殺してゆく。全8曲のヴォーカルを録り終え、全ての曲の死骸を目の当たりにした僕は一体何が起きたのかわからないほどに動揺していました。その日の晩の打ち上げはまるでお通夜のようだったなぁ。僕は本気でレコーディングを中止して、バンドも解散しようと思いました。大袈裟ではなく。

 

 まあ、そんなわけにもいかないことは分かってますので一晩寝てちょっと気持ちも落ち着いてきたタイミングで歌を入れた録音を聴き直しました。何度も何度も、一日中そればっかり聴いていました。過去の素人録音では感じた事の無い、歌メロと歌い方に対する違和感、コレジャナイ感。演奏はこんなに良いのに何故??

 

 いや、演奏が、そして何より録音が良いからこその違和感だったんですね〜僕のギターは別としてドラムとベースの2人はプロです。スタジオもプロの使うスタジオ、エンジニア、ミキサーもプロ。それらのプロフェッショナルに囲まれて、僕の曲の持っていた、今まで気づかなかった弱点が笑っちゃうくらい鮮明に浮かび上がってきた結果だったことに気づきました。

 

 そして僕はとことん自分の曲に向き合いました。素晴らしい演奏、素晴らしいサウンドにはあやふやなメロディや歌い方は通用しません。一曲一曲歌のメロディを吟味し、削り、足し、変え、動かし、それに伴って歌詞を吟味し、削り、足し、変え、動かし。

 

 そうやって仕上げた歌を自宅のMTRでオケに合わせて歌っては聴き、また歌い直しては聴き、をこの曲にベストな歌い方を模索しながら何度も何度も繰り返しました。その過程でまたメロディや歌詞の手直しもありました。納得できる歌い方が見つかるまで次のレコーディング予定はいれません。何日もこの作業を繰り返し、ひたすらに曲のあるべき姿を探し続けたのです。

 

 そうして迎えた再度の歌入れ、自分でも驚くほど迷いがありません。あっという間に終わってしましました。もちろん元々の実力がこんなもんですから仕上がりもそれなりですが(笑)

 

 今は手頃な値段の機材で簡単にレコーディングが出来る時代です。実際にそうやってCDを作ってライブで売ったりしているバンドも多いことと思います。しかしやはりアマチュアとプロの録音は違います。以前もバンドメンバーについて同じようなことを書きましたが、アマチュアの録音技術が上達したのがプロでは無いんです。プロははじめからプロ、次元が違います。

 

 そしてプロのクオリティで録音することではっきりと見えてくる弱点がきっとあると思います。演奏かもしれません。曲の構成かもしれません。僕と同じように歌かも知れない。でも、眼を背けたくなるような自分の音楽の弱点に正面から向き合い、克服しようともがくことは、必ずそれ以降の音楽活動に大きなプラスとなるのでは無いかと思います。

 

 音楽は楽しいです。自分たちが楽しくやっているんだからそこまで自分に厳しくしなくても、という意見もあるかと思います。が、密室で自分たちだけで演奏しているならまだしもそこに聴いてくれているお客さんがいるのなら楽しいのはまずお客さんでなければならないのでは?

 

 すでにファンのいるような人気者もそうでない方も、自分の音楽のクオリティを高めて損することは何一つないでしょう。そのための方法の一つとしてプロの現場でのレコーディングを経験することはとても有意義なことと思います。

 

 ちなみに僕の録音した前述の「hmc」さんには自主制作サポートプランというのがあり、8時間で税込50,000円(エンジニア費込み)。8時間あれば2曲分の完パケくらいは録れるのではないでしょうか?新しいギター買うより安いでしょ?

 

うずまき「ヴィンテージ ゴールド」

絶賛発売中

*上記リンク先で試聴もできます